2015年10月28日

標茶高校でタンチョウの授業

24日、鶴居村に隣接する標茶町の標茶高校で授業を行いました。同高2年生の「自然ガイド」という選択科目、通年70時間のうち4回(授業2回、野外実習2回)を外部講師として受け持っています。これまで村内の小中学校と釧路市内の大学での授業は行なっていましたが、高校での授業は初めてです。この日は、タンチョウの現状を知るための野外実習でした。

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農場長から話を聞く高校生

まずは町内の農家でタンチョウの様子を聞きました。肉牛を育てているこの牧場では、2000年頃に2羽のタンチョウが見られるようになり、今では多い時期で30羽以上が牧場内に入って来て牛舎や堆肥置場で餌を採っているそうです。「鶴は牛舎で会ったら、走って逃げていくので、悪い事してるのは分かってるんだな」と農場長。タンチョウへの想いは「もう野生じゃなくなってる。ここにはいるのが当たり前で、いなくなると寂しいかな」と話してくれました。

続いて牛の飼料用のデントコーン畑の刈跡で餌を採るタンチョウを観察しながら鶴居村へ。
通行の支障のない所で停車し、鶴を驚かせないように車内から観察します。この場所では親子の違いや鳴き合い、羽繕い等の行動をじっくり見ることができました。

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刈跡の畑のタンチョウ

鶴居村では1ヶ所に数十羽が集まるようになった農場での農業被害やタンチョウの事故死の話を説明しました。その後移動途中で寝ていた高校生は、70羽以上がいた畑では一気に目が覚め、大盛り上がりで観察、撮影に取り組んでいました。

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鶴を脅かさないよう車内から観察

今回の実習ではさらに、釧路市動物園で傷病で保護しているタンチョウを見せていただき、獣医さんから説明を受けました。やはり2000年代以降に収容件数が増えていることや毎年半分は電線衝突や交通事故、列車衝突であることなどを教わり、生徒たちは熱心にメモを取り、質問していました。

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園内の公開スペースでタンチョウの説明を聞く

参加者からは「動作について細かく教えてもらい、興味がわいてきた」「(一般の人が)事故についてもう少し興味関心を持ってもらえるようになるといい」「今まで身近すぎてあまり興味がなかったが、これからはタンチョウと人の関係をもっと調べてみたくなった」などの感想をもらいました。最後の実習では、2月に鶴居村の給餌場で観光客にガイドを行う予定です。この日感じたことを活かして、タンチョウのことを彼らなりに伝えてもらえれば嬉しいです。
今回の実習でお世話になったJ牧場と釧路市動物園、町営バスを出していただいた標茶町など関係者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます(原田)。
posted by 野鳥保護区事業 at 13:43| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月08日

タンチョウ・ティーチャーズガイド講習会inむかわ

3日に胆振管内むかわ町で行われた、市民団体「ネイチャー研究会inむかわ(以後“ネイ研”)」のタンチョウ・ティーチャーズガイド(以後「TTG」)講習会で、ウトナイ湖サンクチュアリのレンジャーと共に講師を務めました。むかわ町はタンチョウが定着して5年目となる今年、心無いカメラマンに追われる形で水田地帯に移動した家族が、2羽の幼鳥を水路に流されて失う、という悲劇に見舞われました。限られた関係者による見守りから、公開して地域全体で見守る形を模索し始めた矢先の出来事でした。今後に向けネイ研の方が地元への普及啓発を行う参考にと、タンチョウに興味関心を持ったり、理解を深めてもらうプログラムをまとめたTTGの講習会が実現しました。当日は1日がかりの日程に32人もの参加者がありました。

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「タンチョウの大きさはこの位!?」

午前中は2つのプログラムを体験していただきました。1つめの“本物はどれだ?”では実物大のタンチョウを描くために「タンチョウの大きさは私の体のこれくらい!」と床に寝る人がいる等、和気あいあいとした雰囲気の中、作業を通じてタンチョウの大きさを実感していただきました。まとめの後、あらためてテキストを使い、レンジャーがこのプログラムのねらいや進行について解説し、自分達で実施するための理解を深めました。
2つめの“タンチョウの食べものなあに?”では、使いやすくするための意見が出される等、参加者はとても意欲的でした。

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解説する鈴木レンジャー

午後の体験プログラムは“湿原で何がおこった”を水田があるむかわ町に合わせてアレンジした“むかわ町で何がおこった”を試験的に実施しました。結果は「ルールが複雑で分かり難い」という意見が多く、担当した原田にたくさんの宿題が出ました(涙)。

その後は班毎に「住民への普及」「農業との共存」「カメラマン対策」「地域振興」といった
テーマで、むかわ町で今後もタンチョウと共存していくために必要な事や現状について話し合いました。

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プログラムで描いたタンチョウと参加者

むかわ町は、タンチョウの生息地としては初めての水田地帯です。タンチョウが利用する環境と人の生活空間が近くなっている現在、新規生息地ではこれまでとは違う課題も発生すると思われます。地域の人達がこうした課題と向き合い、タンチョウと共存していけるよう、これからもしっかりサポートしていきたいと思います。(原田)
posted by 野鳥保護区事業 at 14:19| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする