2017年08月31日

三菱UFJ信託銀行野鳥保護区酪陽の巡回

 三菱UFJ信託銀行野鳥保護区酪陽は、根室市の別当賀川と風蓮湖に隣接しており、タンチョウ1つがいが繁殖しています。しかし、ここ数年繁殖に失敗することが多くなっています。タンチョウが利用している湿原に問題が生じていないかを確認するために、8月30日に巡回を実施しました。

 まず見られたのはスゲ類の群生地です。この湿原の中ではよく目立っており、膝くらいの高さのスゲ類が広がっていました。

170826_酪陽_1536.jpg

湿原の中央部分はヨシ原です。2mほどの高さのヨシが繁茂する中に所々狭い川が流れていました。

170826_酪陽_1482.jpg

ヨシ原を抜け風蓮湖に近づくと、再びスゲ類が見られますが、その中にはシダ類やヤチヤナギが混生し、ハンノキなどの樹木がまばらに生える環境になります。

170826_酪陽_1528.jpg

 隣接する藤田野鳥保護区酪陽と合わせると57.3haほどの湿原の中で多様な環境が存在しています。その中で、タンチョウ以外にもノビタキ、コヨシキリなどの湿原の鳥が数多く繁殖し、この野鳥保護区は鳥たちの重要な生息地となっています。
 タンチョウの繁殖の成否は様々な要因に左右されます。そのため、今後も注意深く観察して環境の変化などを把握していきます。

【稲葉記】
posted by 野鳥保護区事業 at 20:50| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月17日

KODOMOラムサールin鶴居村

8/4〜8/6、KODOMOラムサールin鶴居村が行われました。このイベントはラムサール条約登録湿地の子供たちが集まり、様々なプログラムを体験し、その場所の宝物となるものについて子供たちが話し合い、発表するものです。今回、鶴居村の開村80周年と釧路湿原国立公園指定30周年の記念行事として、鶴居村で開かれることになりました。当日は道内や沖縄県など、全国13湿地から合計36人の子供が参加。私たちレンジャーは、イベントで釧路湿原やタンチョウの解説を行いました。

8月4日、鶴居村へ向かう道中で、特別に許可をいただき釧路川の堤防道路をバスで移動することができました。子供たちには釧路湿原の広さを実感してもらうため、途中で道路を歩くことに。長距離移動の疲れとまだまだ緊張していることもあり、子供たちの表情は固いままでしたが、広大な湿原を十分に感じてもらえました。

IMG_7643.JPG

その後、開会式や各湿地の活動発表、劇団シンデレラと地元の子供たちによるミュージカルが行われ、いよいよプログラムが始まります。初日は釧路湿原内の木道散策、ホタル観察です。地元民でも寒いと感じる気温でしたが、湿原の様々な植物やホタルを見ることがき、緊張がほぐれたのか子供たちの顔に笑顔が見られるようになりました。

8月5日、午前中は鶴居村の水道の水源地観察や森林組合の作業見学、お昼は自分たちで釣った魚を食べたり、ジンギスカン…と盛りだくさんの内容でした。子供たちの疲れは大丈夫かなぁと心配しつつ、午後からはタンチョウ観察。いよいよ私たちの出番です!

下見の際、タンチョウが中々見られず少々不安でしたが、始まってみると道路のすぐ近くなどで合計20羽近くのタンチョウを見ることが出来ました。今回私たちが特に伝えたいことは、タンチョウを守ってきた村の人たちの想いです。自分たちの食べ物を分け与えたことで絶滅の危機にあったタンチョウを救ったことや、たくさんの人に守られてきた歴史を、観察だけでなく、写真や解説を通して子供たちに伝えました。その後の牧場見学でも、タンチョウの生息数が増えたことで酪農業に被害を与えているが、共存していきたいと考える農家さんにお話しをしてもらい、鶴と人とが共に暮らす鶴居村であることを伝えることができました。

IMG_7761.jpg

夕方には体験を通じて鶴居村の宝物だと思ったものを子供たちが考えます。どの班もタンチョウを宝物に選び、中には「タンチョウのために一生懸命頑張る鶴居の人たち」や「鶴居の良さを教えてくれた人たち」を宝物だと選んでくれた子供もいました。朝早くから活動していたにも関わらず、夜遅くまで一人一人が一生懸命に鶴居村の宝物を考え、絵を仕上げ、班での6つの宝物を考える子供たちはとてもたくましかったです。

IMG_7889.jpg

8月6日、いよいよ各班6つの計36個の中から、参加者全体で鶴居村の6つの宝物を選びます。私たちの想いが伝わったのか、タンチョウはいち早く選ばれ、しかも「村の人が救ったタンチョウ」が宝物になりました。これには、レンジャーも思わず嬉し涙が。その後も活発な議論が行われ、「きれいな水という表現は人間目線の考えだ」、「釧路湿原には、たくさんの生き物が含まれている」など大人顔負けの話し合いに、見学に来ていた大人たちは終始驚かされました。2時間に及ぶ議論の末、「村の人が救ったタンチョウ」「命の源わき水」「生き物と共存したいと思う心」「釧路湿原」「人と自然のバランス」「自然と環境を守る人々」が鶴居村の6つの宝物に選ばれました。宝物には、「タンチョウとくらす鶴居村〜みんなで伝える鶴居の伝統 みんなでつくるこれからの鶴居〜」というメッセージが添えられ、子供たちから村長へ宝物のポスターとして渡されました。

IMG_8533.JPG

今回のイベントで、全国のラムサール条約登録湿地の人たちと交流でき、鶴居村がタンチョウと多くの生き物が暮らすことのできる豊かな自然環境であることを伝えることが出来ました。また、鶴居村の宝物がタンチョウだと多くの子供が選んだことは、村の人たちにとってもタンチョウが村にとって大切なものであることをあらためて実感できたと思います。

今秋、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリは開設30周年を迎え、10月29日に鶴居村と共催で、タンチョウとの共生を考えるシンポジウムを開催します。これからも村の宝であるタンチョウと人とがうまく暮らしていける村であるよう、今回のイベントでうまれた良い流れをシンポジウムへとつなげていきます。【鈴木記】





posted by 野鳥保護区事業 at 16:45| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする