2017年04月04日

スラリー転落事故

2日、刺激的なタンチョウの保護を手伝いました。休日の朝にOさんから「スラリーに落ちたタンチョウの保護を手伝ってほしい」との電話。スラリーとは、近年各地の牧場に設置されている、牛の糞尿を液状のまま溜めておくタンクです。屋根がないため、乾いた糞尿の表面が泥状で、間違えて下りたタンチョウが出られなくなったり、溺れて死亡する事故が起きています。

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スラリーから出られなくなったタンチョウ

古い雨具とトイレ掃除用の手袋、胴長で身支度し、覚悟を決めて現地へ行くと、直径30m程の丸いスラリーの中にタンチョウがいました。確かに表面は泥と水のようで、餌を探したくなるのも分かるような・・・。胴長で中に降りる覚悟でいましたが、深さが4mと聞いて断念。まずは壁の近くにいたタンチョウを、柄の長さ2m弱の大きな丸い網で救い上げようとしました。頭は網に入ったのですが、暴れてやや中央側へ離れてしまい失敗。

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身動きできなくなったタンチョウ

今度は釣竿を2本ずらして重ね、先端にロープで輪を作り、引っかける作戦に変更です。1回目は長さが足りず、竿をずらして長く作り直しました。2回目、首を絞めないように気を付けながら、今度はうまく体にかかり、糞しぶきを浴びながら引き寄せ、4人がかりで引き揚げました。

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洗浄されるタンチョウ

すぐに牛舎内へ運び、温水で汚れを落とした後、洗剤で羽を痛めないように洗い、タオルで拭いて乾かします。幸い大きな外傷はなく、猛禽類医学研究所のスタッフが慣れた手つきで作業を進めました。この日は天気がよく、洗浄を終えたのが昼頃だったため、サンクチュアリで放鳥することになりました。

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放鳥されたタンチョウ

体を保定していたベルトを外し目隠しを取ると、タンチョウは羽ばたきながら給餌場を走り、林の中へ姿を消しました。この動きなら大丈夫そうです。服についた汚れを洗い流し、一息つくと2時間半が過ぎていました。
このような事故は十数年前から発生するようになり、再発防止としてスラリータンクの上面に数本のロープを張る対策が行われたこともあります。交通事故や電線衝突等に比べ発生件数は少ないですが、これも人とタンチョウの生活が重なることで生じる問題の1つです。(原田)
posted by 野鳥保護区事業 at 17:27| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする