2016年12月03日

学生バードソン2016に参加しました

 11月27日、F.A.ネットワーク主催の学生バードソン2016に参加しました。バードソンとは@12時間のバードウォッチングで見つけた鳥の種数と、Aたくさんの人から集まった募金額の合計で順位を競う自然保護チャリティイベントです。私達はかつて鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの開設時に、学生バードソンの募金を寄付していただいたことから、恩返しの意味をこめて参加しています。当日は野鳥の会のレンジャーを中心に結成した「釧根サルン・コロカムイチーム」として競技に挑みました。しかし11月下旬の道東は、ガンやシギなどの鳥は南下していなくなり、マヒワなどの小鳥やシノリガモなどの水鳥がようやく渡って来始める時期のため、種数が期待できません。さらに追い打ちをかけるように当日の天気予報は雪。様々な不安を抱えながら本番を迎えました。

 スタートは鶴居村のタンチョウのねぐらとなっている雪裡川が見渡せる「音羽橋」です。日の入りが早いため、いかに効率よく鳥を見るかがこの競技のカギとなります。まずは確実にタンチョウを確認して釧路湿原から厚岸湖を目指します。

音羽橋.jpg
雪の中タンチョウを発見!

 日の出のころから降り始めた雪は次第に粒が大きくなり、路面状況や視界を悪くしていきます。この悪天候のせいで当初立ち寄る予定だった湖は全面凍結。泣く泣く先に進むことになりました。しかし、そんな悪条件の中、ハンノキの実を食べるマヒワの群れやシジュウカラなどの中からアトリやキクイタダキを発見するなど順調に種数が伸びていきました。

 厚岸湖に到着した頃には、スタートから6時間が経過していました。朝から降っていた雪は止み、確認した鳥は40種を超えました。ここからは海岸沿いを走って霧多布を経由して、水鳥や海鳥を探します。水面に浮かぶ鳥達の中からまだ確認していない種を探すものの、思うように見つかりません。そこに冷たい風が吹き付け集中力を奪っていきます。それでも粘ってなんとかコクガンやハジロカイツブリなどを見つけました。14時を過ぎた頃、日は傾き始めたため岬で海鳥を探すことに。読みはあたり、その場所でケアシノスリやハギマシコに加え、未確認の水鳥がどんどん見つかりました。

ハギマシコ.jpg
ハギマシコ

 その後、思うように種数は伸びず日が暮れてしまいましたが、最終的な確認種は56種。なんとか確認数で一般部門第3位となりました。悪天候や難しい時期ではありましたが、これだけの種数を確認できたことには驚きました。

 今回の学生バードソンを通じて、改めてタンチョウ(サルルンカムイ)やシマフクロウ(コタンコロカムイ)が生息できる道東の自然の豊かさを実感しました。今回周ったコースには、森林や湿原・海など環境も様々。ラムサール登録条約湿地や国立公園に登録されている場所もあれば、そうではない場所もあります。多くの種を支える自然環境がこれからも維持されるよう、引き続き保全活動を進めます。そして募金も集めて、学生バードソンにも恩返しをしたいと思います。【記:鈴木】
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posted by 野鳥保護区事業 at 16:14| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月01日

「千人の森」シマフクロウ巣箱を設置しました。

2016年版「千人の森」Tシャツの販売を通した寄付金で作ることができました、シマフクロウの巣箱を野鳥保護区の森へ設置しました。

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今回、「千人の森」巣箱を設置したのは、天然の営巣木を使って1つがいのシマフクロウが繁殖している「杉本野鳥保護区シマフクロウ釧路第2」の森です。

ご支援いただきました皆さま、本当にありがとうございました。

この保護区のシマフクロウは、天然の樹洞で営巣していますが、今の樹洞が使えなかった場合の予備の巣穴が無い状態でした。これまで、折れて落ちてきた枝が樹洞を塞いでしまって、繁殖を諦めた年もあります。
また今年の春、巣立ち間際の雛が巣の中で、テンに襲われてしまいました。
テンは一度襲った木を覚えていて来年以降も襲われる可能性もあります。引越し先もありませんので、困ったことになってしまいます。

シマフクロウ.jpg

そこで今回、「千人の森」巣箱を設置して、バックアップの巣穴を確保するとともに、今ある営巣木へもテン除けの対策を施すことになりました。

今回設置した巣箱は、軽量化を図っているものの、大きさはドラム缶1本分くらい。重量は10kgを超えます。
この巣箱を設置できる太い木を探すところから、作業は始まりました。

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シマフクロウの保護区ですので、巨木は何本もあるのですが、巣箱を設置するとなると、いくつもの条件が揃う必要があります。設置する木の前に木や枝があったりして空間が無いと巨大なシマフクロウは巣箱に出入りができませんし、出入り口が南向きでないと吹雪の日に巣箱の中が雪で埋まってしまいます。そんな多くの条件の物件を探して森を歩きまわり、今回選定したのは太くて直立しているエゾマツの木でした。

s-巣箱をかける木.jpg

装備を整えて木を登っていき、高さ8m程の位置に巣箱を固定します。そして、入口上には屋根型のテン除けを取り付けて、最後に2〜3pの大きさのチップを巣箱の中に敷き詰めました。

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これで、バックアップ用の巣箱が完成です。

s-巣箱設置しました.jpg

その他にも、元の営巣木も機能させるため、幹回りにトタン板を張り付ける作業も行ないました。これで、テンなどの捕食者は、爪が滑って木に登ることができません。

s-鉄板巻き.jpg

今回の活動で、この保護区のシマフクロウのつがいの営巣環境がしっかりとしたものになりました。
年明けから始まる繁殖期に期待です。

【松本記】
posted by 野鳥保護区事業 at 22:32| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月23日

日本鳥学会でシマフクロウ調査について発表しました

9月16日から19日まで、日本鳥学会が札幌で開催され、当会では、日本製紙株式会社と共同で2014年に実施した、社有林内でのシマフクロウの調査についてポスター発表を行ないました。
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この調査は、シマフクロウ2つがいが生息し、木材を生産する森でもある釧路地域の日本製紙社有林内において、重要な生息区域を把握し、保全範囲を抽出する目的で実施したものです。
保全された森林.jpg
シマフクロウ2つがいが生息する、社有林内を流れる川と河畔林。

2014年5月から12月にかけて、河川に沿って500m間隔で21台の録音機を設置して、そのデータを解析することで、シマフクロウが良く鳴く場所を調べました。そして、その声の位置や鳴き声の回数から、生息するシマフクロウが森の中のどのあたりを良く利用しているかを明らかにして、保全すべき範囲を抽出したのです。
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調査の様子。録音機を河畔につけていきます。

2015年には、この調査結果を元にして、日本製紙株式会社との間で、伐採や施業時期を制限する範囲を取り決め、林業とシマフクロウの生息地保全を両立させる覚書を取り交わすことができました。
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※保全範囲の概念図。営巣木のまわり半径250m(赤点線)および、頻繁に声が記録されていた地点から半径250m(青点線)、河川から片側20mの範囲は、特に重要な利用範囲として保全が強化された。

今回の学会では、発表を見に来ていただいた多くの方に、当会と企業が共同で進めている調査や保全活動についてお伝えすることができました。
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木材を生産する経営林について、シマフクロウのために施業の制限を検討していただいた日本製紙株式会社、録音機材の提供をしてくださったヤマハ株式会社、そして、300時間を超える膨大な量の音声データからシマフクロウの声だけを抽出するソフトを開発していただいた富士通株式会社および富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社の皆さまには、この場を借りて御礼申し上げます。

【松本記】
posted by 野鳥保護区事業 at 23:13| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする