2019年10月24日

JALの皆さんと冬期自然採食地の整備

17日に、日本航空株式会社(JAL)の社員ボランティアの皆さんと冬期自然採食地の整備に取り組みました。同社のCSR(社会貢献活動)の一環として2016年度以降毎年協力していただいており、今年で4年目となりました。地元の釧路以外にも、札幌や東京など遠方から総勢16名の社員の皆さんに、作業をお手伝いいただきました。

今年度の作業場所はタンチョウのねぐらとして有名な音羽橋の近くに位置する採食地で、これまで十数羽のタンチョウの利用が確認されている場所です。生い茂っている低木や藪を鎌やノコギリで刈り、タンチョウが牧草地から採食地内の排水路へ出入りしやすい空間を造りました。また、排水路内にかかる倒木をノコギリで枝払いをし、太い倒木はチェーンソーで伐り倒しロープで引っ張り上げた後に玉切りを行いました。

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倒木が除去されタンチョウが利用しやすい空間に

タンチョウのためにと熱い想いを持った皆さんの作業のおかげで開けた空間が完成し、既存の採食地を拡大することができました。冬に設置するタイマーカメラに、さらに多くのタンチョウの利用が確認できるか楽しみです。

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完成した採食地の中で記念撮影

ネイチャーセンターに戻った後は、作業の感想やタンチョウへの想いをメッセージカードに書いてもらいました。
以下にいくつかご紹介します。
「より自然に近い環境でタンチョウの個体数が増えていけるよう、採食地の整備に貢献できて良かった」「タンチョウが整備した採食地を餌場として選んでくれたら嬉しい」「人生で初めてタンチョウを見ることができ、想像以上の白さと大きさに感動した」

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皆さんの手にはたくさんのメッセージが

センターでの作業後は、ねぐらへと帰るタンチョウを見に出発。途中で村内の刈り取り後のデントコーン畑に集まるタンチョウの餌を食べる姿などを観察しました。幼鳥を連れた家族が目の前を通り過ぎる場面もあり、終始大盛り上がりでした。

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望遠鏡を使いデントコーン畑にいるタンチョウを観察

日の入り時刻にはタンチョウのねぐら場所である音羽橋へ移動し、上空を次々に飛ぶ群れを眺めました。天候にも恵まれ、ねぐらへと帰るタンチョウの優雅な姿に、皆さんは寒さを忘れるくらい感動していました。

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音羽橋でねぐらへ帰るタンチョウを待ちます

今後もタンチョウの魅力や保護の大切さを伝えると共に、冬期自然採食地の取り組みを通して、多くの方とタンチョウの保護活動を進めていきます。ご協力いただいたJALの皆さん、どうもありがとうございました。
【田島記】







posted by 野鳥保護区事業 at 14:26| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月16日

(株)明治の皆さんとエコアップ活動

 10月10日、根室市にある「明治野鳥保護区槍昔」にて、全国から集まった株式会社明治の社員ボランティア10名が、野鳥保護区の自然環境をより良い状態にするためのエコアップ活動を行ないました。

 株式会社明治は、2007年に当会と協定を結び、同社の社有地をタンチョウの生息地保全を目的に野鳥保護区としています。エコアップ活動は、2008年から毎年春と秋に実施しており、今回で25回目となりました。今回の活動では、林道整備と巣箱作りを実施しました。

 林道整備では、草刈り鎌、高枝バサミ、ノコギリを使い、林道に繁茂する下草や枝の除去をしました。保護区の巡回や調査の時に支障になるため、林道を管理することも大切な作業の1つです。

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○ボランティアの皆さんは、「大変な作業だけど、体を動かすと気持ちがいいね」と汗を流していました

 当保護区は、ミズナラを主体とする二次林ですが、シジュウカラやキビタキなど木にできた穴(樹洞)を使って子育てをする鳥類が少ないことが過去の調査から明らかになっています。樹洞ができるほど木々が生長するまで長い年月がかかるため、森づくりと並行して樹洞を利用する小鳥や小動物を森に呼び寄せるための巣箱を作成・設置しました。

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○今回は小鳥用、モモンガ用、キツツキのねぐら用の3種類の巣箱を作りました

 様々な種類の野鳥や動物の数が増えると、それらを捕食するフクロウなどの猛禽類も生息でるようになります。保護区の生態系がより複雑化することで、多様性のある豊かな森が成り立ちます。 

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○自分たちの巣箱を小鳥やモモンガが使ってくれたら嬉しいと話していました。

 野鳥保護区の自然環境が維持されてきたのは、これまで約250名のボランティアの皆さんのご協力があったからです。今後も多くの方々と協力して野鳥保護区を守り続けていきます。

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○ボランティアの皆さん、ありがとうございました

【稲葉記】
posted by 野鳥保護区事業 at 13:57| 野鳥保護区管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月26日

シマフクロウの給餌場の利用率を調査しました

当会では、2011年から日高地域にある野鳥保護区内でシマフクロウへの給餌を行なっています。当保護区とその周辺では、古くからシマフクロウ1つがいが繁殖していますが、繁殖成功率を上げるには、自然河川での餌資源量の不足分を補うことが必要です。

給餌は、シマフクロウの繁殖の補助に有効でありますが、人馴れや周辺の生態系への影響を及ぼす恐れもあります。そのため、現時点での給餌量が必要最小限の量であるかを検証が必要です。

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○当会の給餌場

そこで、当会は、給餌場に設置した定点カメラの撮影画像を用いて、シマフクロウの給餌場への飛来、飛去時間や滞在時間、飛来回数を解析して、給餌場の利用率と繁殖成否によっての利用の違いについて調査しました。

調査の結果以下の2つの事が分かりました。
@繁殖の成否に関わらず、抱卵期である2月下旬から4月上旬にかけて、給餌場へ滞在する時間も回数も少ない
A繁殖に失敗した年は、繁殖に成功した年と比べて育雛期以降の利用率が低い

以上の事から、シマフクロウの抱卵期に加え、繁殖に失敗した年の育雛期以降は、給餌量を減量または削減しても良いことが考えられました。しかし、現時点では、周辺の自然河川での餌資源量が詳細に分かっていないため、今後も調査を継続し、給餌量を慎重に検討していく必要があります。

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○給餌場を利用するシマフクロウの親子

これらの事を、9月13日〜16日に、東京で開催された日本鳥学会にて、ポスター発表をしました。発表時には、多くの研究者や大学生などから様々な質問やアドバイスをいただけました。議論をする中で深まったことや学んだことを今後の保護活動に役立てていきたいと思います。

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○ポスター発表をするレンジャー

【稲葉記】
posted by 野鳥保護区事業 at 11:23| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする