2022年11月04日

JALの皆さんと自然採食地整備2022

10月28日に日本航空(JAL)の社員ボランティアの皆さんと、タンチョウの自然採食地整備を行ないました。JALといえば飛行機の尾翼の鶴丸マークを思い浮かべる方も多いでしょう。それがご縁で、今年で7年目の活動となります。今回は11名の方が参加してくださいました。ネイチャーセンターでは鶴居村村長の歓迎のご挨拶を頂き、作業のレクチャーを経て現場へと向かいます。今回は、サンクチュアリ給餌場裏手のサンクチュアリ1号という場所で整備を行ないます。ここは、サンクチュアリ開設時の共同運営者であった伊藤良孝氏(故人)の提案で、1993年に初めて水辺の藪払いをした記念すべき採食地です。

昨年も同じ場所でJALの皆さんに整備を行ってもらいました。しかし、昨年と今回とでは作業内容は全く異なります。昨年はタンチョウが出入りしやすいよう、水場周辺の藪を払うなどの作業が中心でしたが、今回はタンチョウの餌となる生き物を増やすための整備を行ないました。具体的には、2本に分かれている水路を1本にまとめることで池の中に流れる水量を多くしたり、池の幅を広げることでたくさんの水生生物が生息できるようにしました。
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スコップで池を掘る

重い石を運んだり、スコップでひたすら地面を掘ったりと、かなりの重労働になりました。それでも、タンチョウのためにと、汗と泥にまみれながら一生懸命に作業をしてくださいました。そのかいあって、水の流れを1本にでき、狭かった池もかなり大きくなりました。池の様子はサンクチュアリのHPのライブカメラにも映っているので、タンチョウが利用してくれる日を待ち遠しく思っています。
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掘った池を前に記念撮影

作業後は、ネイチャーセンター内でタンチョウへのメッセージをカードに記入してもらいました。メッセージカードには、「おいしい食べ物が増えるといいね。」「私たちが作った池でたくさん食べてください。」など、タンチョウへの想いの詰まったメッセージが寄せられました。皆さんの想いと努力は、きっとタンチョウにも伝わったと思います。
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メッセージカードを手に記念撮影

続いて、野外観察を行ないました。この時期鶴居村では、収穫後のデントコーン畑で落穂を食べるタンチョウが見られるので、地元の方や交通の迷惑にならない場所で車を停め観察をしました。思ったよりもタンチョウとの距離が近く、車を停めると警戒していたため、そのまま車内から観察をすることにしました。数十羽のタンチョウが見られ、中には幼鳥を連れた家族や標識のついたタンチョウもいました。しばらく観察を続けていると、少しずつねぐらへと飛び立つタンチョウが出てきました。しまいには、十数羽のタンチョウが一気に飛び立ち、車のすぐ真上を飛んでいきました。こんなにも大迫力な飛翔シーンを見ることはめったにできません。きっと、タンチョウのために一生懸命に整備をしてくれたJALの皆さんにお礼を言いたかったのだと思います。

最後に、タンチョウのねぐらとして有名な音羽橋を訪れました。この日は、雨も降っており暗くなるのが日没よりも少し早かったためか、すでにねぐらには100羽以上のタンチョウが集まっていました。望遠鏡や双眼鏡でねぐらの様子を見てみると、JALの皆さんはその数の多さに圧倒されたようです。ねぐらを目指して飛んでくるタンチョウが頭上を飛んでいく様子も見られ、タンチョウを堪能できたところで解散となりました。
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音羽橋からねぐら観察

JALの皆さんとは今後も活動を継続し、多くの方にタンチョウの魅力や現状を伝えていきたいと思います。そして、いつまでもタンチョウのいる美しい風景が続くよう、自然採食地整備などの保護活動を行なっていきます。(田中)


posted by 野鳥保護区事業 at 14:33| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする