2022年12月04日

標茶高校の生徒と野外授業

11月26日、標茶高校の講師としてレンジャーが野外授業を行ないました。標茶高校では1月と2月に2・3年生の生徒がサンクチュアリや鶴見台の給餌場で来訪者に対してタンチョウガイドをしています。解説するためにはタンチョウのことを詳しく知る必要があるので、10月から計3回レンジャーが講師として授業を行なっています。今回はその2回目、生のタンチョウを観察するために鶴居村周辺を中心とした野外授業を行ないました。

初めに、道中で見つけたタンチョウの家族を観察しました。バスが近づいても全く気にしない家族であったため、バスの中からじっくりと観察することができました。成鳥と幼鳥の違いや繁殖についての話をして、タンチョウの知識を深めてもらいました。
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バスの中からタンチョウを観察

次に、タンチョウのねぐらとして有名な音羽橋へと向かいました。タンチョウはどうして川の中で眠るのか、どうやって寝ているのかを解説しました。タンチョウの一日の暮らしについて質問をしてくる来訪者は多くいます。そんな質問にもしっかりと答えられるように、実際のねぐらを見てタンチョウの暮らしぶりを知ってもらいました。
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音羽橋からタンチョウのねぐらを見る

次に、鶴見台とサンクチュアリを訪れました。この2か所は実際に解説を行なう場所なので、しっかりと下見をしてもらいました。サンクチュアリにはネイチャーセンターがあるため、館内の様子も説明しました。給餌場には残念ながらタンチョウは飛来していなかったので、詳しい行動の解説をできませんでした。それでも、実際に解説を行なうネイチャーセンター内の様子や給餌場の様子を確認できたので、本番のイメージは固まったと思います。
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実際に解説を行なう鶴見台を見学

続いてサンクチュアリの近くにある「みなくる」という施設内の展示物をみてもらいました。ここでは実際のタンチョウの重さや、よく通るタンチョウの鳴き声の秘密について知ることのできる体験型の展示物があるため、身をもってタンチョウのことを学んでもらえました。また、骨格標本や繁殖の様子を再現した展示物もあり、タンチョウの生態や体のしくみについても詳しく知ることができました。
よくとおる鳴き声の秘密を知る.JPG
よく通る鳴き声の秘密を知る

最後に、農家とタンチョウとの関わりを学んでもらうために酪農家さんから直接お話しを聞きました。酪農家さんは、「はじめは牛を驚かしたり、播種したデントコーンを食べたりしてしまうタンチョウを腹立たしく思うこともあった。でも、生態を知ることでうまく共生できることを知ったし、今ではタンチョウの姿が見えないと心配になることもある。解説をする皆さんには、共生のことについてもしっかりと伝えてほしい。」と仰っていました。酪農家さんの生の声は高校生にかなり響いたようで、たくさんの質問もありました。
酪農家さんから直接お話を聞く.JPG
酪農家さんから直接お話を聞く

今回の野外学習は、解説本番に向けてかなり刺激になったことと思います。タンチョウの基本的な情報や生態だけでなく、人との軋轢や関わり方についても実際の現場を訪れることで深く印象に残ったのではないでしょうか。こうした野外学習での経験をしっかりと解説に活かし、来訪者に伝えてもらえたらと思います。(田中)



posted by 野鳥保護区事業 at 15:10| タンチョウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする