競技は限られた時間(12時間)で行われるため、当日までは下見と鶴居村内の方々の野鳥情報の収集を重ね、コースを熟考しました。当日は阿寒湖畔から釧路湿原周辺や鶴居村を通り、厚岸湖・別寒辺牛湿原へ、そこから霧多布湿原へ抜けるというラムサール条約に登録されている湿地を巡ります。天気も快晴で、期待を胸に最初の阿寒湖畔を午前4時半に歩き始めました。早朝にしては鳴き声もあまり聞こえず、予想していた種数は伸びずにまずまずのスタート。

声の主を探します
厚岸湖までのコースの中でいかに山野の野鳥を稼ぐかが大事だと考え、時間配分にも注意して急いで車へ乗りこみます。車内では窓を開け、鳴き声に耳を傾けながら野鳥を探します。車内での話も野鳥のことばかり。車窓から見える自然環境を眺めながら様々な会話が生まれ、ルリビタキはこのあたりで出そうだなと呟いていると、この声に応じたかのように一声さえずってくれました。下見時からルリビタキが出ることは期待薄であったため、驚きと喜びでメンバーの顔に笑みがこぼれます。この出来事を皮切りに、情報で掴んだ種類の野鳥を見るのはもちろんのこと、オシドリ、シマエナガ、ハシビロガモなど予想外の野鳥に会うことが出来ました。

オシドリ
厚岸湖・別寒辺牛湿原に到着したのは9時間後のことで、ここまでに75種類の野鳥が出現しました。ここから残された時間は海辺の鳥がメインとなり、少しずつ種数を増やしていきます。霧多布湿原周辺は下見を行っていなかったため、はたして海岸や干潟でどんな野鳥が出るのかドキドキでした。結果はミヤコドリ、メダイチドリ、ホウロクシギなどが出現。双眼鏡やスコープ越しに見る彼らの嘴の形の違いなど個性豊かな姿に一同大盛り上がりでした。最後の到着地では競技終了の5分前にコマドリが一声だけさえずり、運の良い締めくくりになりました。
最後に鳥合わせをし、確認できた種はなんと89種類。一般部門では堂々の1位でした。道東の自然の素晴らしさ、皆でバードウォッチングすることの楽しさを改めて実感した一日となりました。
今回の募金先である「NPO法人リトルターン・プロジェクト」は絶滅の恐れのある海鳥、コアジサシ(カモメ科)の生息環境の保全活動を行っています。道東ではタンチョウやシマフクロウ、オオジシギなどの保全活動に取り組んでいますが、これらの野鳥をはじめとした様々な生きものたちが絶滅の危機に瀕しています。今回もコアジサシの生息地の保全のための募金を集め、1種類でも多くの生きものが生息し続けられるよう保全活動に取り組みます。
【記:田島】
集合写真