3月2日〜3月6日の5日間、フィールド・アシスタント・ネットワーク(以下、F.A.N)の春のワークキャンプを実施しました。F.A.Nは、自然保護のために首都圏の大学生が集まって設立されたネットワークです。鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリでは毎年夏と春の2回、F.A.Nに所属する学生のワークキャンプを行なっています。
今回の主な活動は、タンチョウが冬でも給餌に頼らず自然の餌を採れるように、と整備している小川(以下、自然採食地)の水生生物調査でした。ワークキャンプ2日目はほぼ終日、魚類調査を行ないました。魚類採集用の網をそれぞれ1本持ち、魚の好む淵(流水が緩やかで深みのある場所)を中心に調査しました。すると、網にはヤマメやハナカジカ、エゾトミヨ、スナヤツメなどの魚類が入っていました。3〜5cmほどの稚魚がほとんどでしたが、中には10cmを超える大物も採れました。今回調査した自然採食地には様々な種類の魚類と育つための環境が整っていることがわかりました。
魚類調査風景 網で魚の捕獲を試みます
体長10cm以上のヤマメも採れました!
3日目は、午前中に底生生物調査を行ないました。底生生物調査では、ある地点の底質を掘り起こし、その中に潜む生き物を探し出します。この調査では、たくさんの水生生物を採集することはできませんでした。ところが、去年の夏のF.A.Nの活動で水生生物の住処になればと小石を置いて整備した場所では、個体数・種類ともに整備を行なっていないほかの地点よりも圧倒的に多くの水生生物を採集することができました。これにより、小石を置くなどの整備をすることで自然採食地の環境をより多様にし、様々な水生生物を増やすことができるのではないかと期待が高まりました。
底生生物調査 底質の中にいる生き物を探します
前年の夏の整備の様子 小石をたくさん置いていきました
午後は採集できた水生生物の同定を行ないました。カゲロウやトビケラなど、詳しい種名まで同定することができないものもいましたが、ガガンボやユスリカ、センブリ科の幼虫など様々な水生昆虫のいることがわかりました。
2日目も3日目も最高気温が約2℃と寒く、さらに水の中に入りっぱなしの調査となったため体は冷えきっていたと思います。それでも、一生懸命に調査をしてくれた大学生5名には感謝の気持ちでいっぱいです。5日間お疲れ様でした!(田中)