当会が給餌を行なっている北海道日高地域のシマフクロウのつがいは繁殖がなかなか成功できていませんでした。
そこで環境省が給餌を始め、10年ほど前から環境省の保護増殖事業者として当会が給餌を引き継いでいます。
その結果、繁殖成功率は上がってきていますが、私たちが目指すのは「自然の条件下で繁殖できる環境を整えること」です。
そのためにまず、我々レンジャーは現在の給餌場周辺の河川に魚がどれくらい生息しているのかを調査しています。
調査は標識再捕獲法で行ないます。
まず、シマフクロウがエサを取れそうな河川に約30mの調査区間を設けます。
そして、そこに泳いでいる魚を全て捕獲、マーキングをして放流し、再度捕獲します。
捕獲方法は、1人が網を構えてその網に向かって数人で魚を追い込みます。
網を構える人は両手、両足、腰、首など身体のあらゆる場所を使って複数の網を固定します。
魚を追い込む人は、川底の石を転がしながら、素早く足踏みをして網に追い込んでいきます。
全員汗だくでずぶ濡れになり、足の爪が割れたり、青あざだらけになりました。
魚の種類や数、大きさは季節によって変化します。
これからも定期的な調査を続け、魚が戻ってくるような働きかけを行なうことで、シマフクロウが給餌なしに繁殖できる環境を整えていきます。
※魚類の捕獲は北海道から特別採捕許可を頂いて実施しています。
※魚は生体状態で計測を行い、放流しています。