2023年09月04日

鶴居小学校6年生 総合的な学習の時間

 鶴居村には小学校が3校あり、それぞれに特色のあるタンチョウ学習を行なっています。今回は、総合的な学習の時間でタンチョウとの共生をテーマに学習に取り組んでいる鶴居小学校6年生の授業にレンジャーが講師として招かれました。

 授業は、タンチョウについて考えを深めるためパネルディスカッション方式。パネリストは、タンチョウ保護の立場から環境省の職員とレンジャーの2名、地元の酪農家さん1名とクラスの代表児童が2名、それに、鶴居村教育委員会タンチョウ自然専門員の6名です。児童10名と向かい合って着席し、討論を行いました。

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子ども達に挨拶をするレンジャー

 まずは、パネラーそれぞれの立場からタンチョウとの関わりについての話がありました。児童2名がクラスを代表して自分の考えを発表し、次に環境省の職員が国(環境省の仕事)として希少野生動植物を守っている理由を、分かりやすく説明しました。
 そのあとレンジャーが、伊藤さんから給餌を引き継いだ経緯と、村内3か所の当会野鳥保護区のこと、また、来訪者にタンチョウについて理解を深めてもらうためセンターで行なっている普及活動など、当会のタンチョウ保護の取組みについて話しました。
 酪農家さんは、タンチョウから受ける農業被害の内容について具体的な例をあげて話されました。

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伊藤さんの話は力が入ります

 守るべきタンチョウ、守ってきたタンチョウ、迷惑な鳥タンチョウ…同じタンチョウなのに、人側の立場が違うと、タンチョウに対する思いや考えが変わるという事が、子供たちにも伝わったと思います。

 休憩を挟んでの第2部は「共生について」がテーマです。

 環境省の職員は、タンチョウの数が減ってしまった理由として人の暮らしがあること、人にとっての幸せと野生動物にとっての幸せ…その両方を尊重できるのが共生だということ、そのために色々な立場の人がみんなで話し合う事が大事だと話しました。
 レンジャーは共生のための活動として給餌場以外の冬の餌場を作る冬期自然採食地整備について、具体的な活動内容を説明しました。
 酪農家さんは、酪農家全体で見ればタンチョウは害鳥かもしれないが、毎年子どもを連れてやってくるタンチョウ家族を愛おしく思っていることを伝えてくれました。家族で自分の農場を利用しているタンチョウ家族が他のタンチョウを農場敷地から追払ってくれることと、時には、そのタンチョウ家族と一緒に他のタンチョウを追い払い自分の牛を守っているという話には、児童だけではなく大人も引き込まれました。
 タンチョウ自然専門員は、「酪農家にとっては害鳥かもしれないタンチョウだけども、村の全ての農家を対象に行なったアンケート調査で『タンチョウがいなくなって欲しい』と回答した農家は一軒もなかった」と伝えました。

 その後の質問タイムでは、子供たちからレンジャーに冬期自然採食地整備について色々な質問がありました。
 どうして、そこまで大変な採食地整備を続けられるのかという児童の質問に「自然の姿でタンチョウに生きてほしい」「タンチョウを守ってきたことを世界中の人が感謝してくれているし期待もされているのでやりがいがある」「タンチョウの分散に向けて色々な人が協力してくれるので頑張れる」と回答しました。子ども達は言葉に真剣に耳を傾けノートに書きとっています。その様子から、タンチョウ保護への思いが、子供たちに伝わったことを感じました。

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真剣に話を聞く子ども達

 最後のまとめでは、タンチョウ自然専門員が「みんながしっかりタンチョウについて考えを持っていることが素晴らしい」と子ども達を褒めていました。村内のタンチョウの数の話では、地域振興や鶴居村の魅力発信を理由に増えて欲しいと考えている児童もいたし、農業被害や鳥インフルエンザを踏まえて減った方が良いと考えている児童もいましたが、子ども達は自分とは違う意見にも耳を傾けて、考えを深めていました。タンチョウとの共生について考える時、今回の子ども達の姿勢を、大人も見習わなくてはと感じました。

 今回の授業の中で、酪農家さんからの子供たちへ「みんなもタンチョウが選んでくれた鶴居村に住んでいることを誇りに思って生きてほしい」とメッセージがありました。
 タンチョウを通じて、子供たちが自分の暮らす地域に誇りが持てるとしたら、こんなに嬉しいことはありません。私たちは、そんなタンチョウを守っていることに誇りを持って、これからも活動を続けていきます。(櫻井) 

posted by 野鳥保護区事業 at 15:47| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月26日

魚類調査を実施

当会が給餌を行なっている北海道日高地域のシマフクロウのつがいは繁殖がなかなか成功できていませんでした。
そこで環境省が給餌を始め、10年ほど前から環境省の保護増殖事業者として当会が給餌を引き継いでいます。
その結果、繁殖成功率は上がってきていますが、私たちが目指すのは「自然の条件下で繁殖できる環境を整えること」です。
そのためにまず、我々レンジャーは現在の給餌場周辺の河川に魚がどれくらい生息しているのかを調査しています。
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調査は標識再捕獲法で行ないます。
まず、シマフクロウがエサを取れそうな河川に約30mの調査区間を設けます。
そして、そこに泳いでいる魚を全て捕獲、マーキングをして放流し、再度捕獲します。
捕獲方法は、1人が網を構えてその網に向かって数人で魚を追い込みます。
網を構える人は両手、両足、腰、首など身体のあらゆる場所を使って複数の網を固定します。
魚を追い込む人は、川底の石を転がしながら、素早く足踏みをして網に追い込んでいきます。
全員汗だくでずぶ濡れになり、足の爪が割れたり、青あざだらけになりました。
魚の種類や数、大きさは季節によって変化します。
これからも定期的な調査を続け、魚が戻ってくるような働きかけを行なうことで、シマフクロウが給餌なしに繁殖できる環境を整えていきます。

※魚類の捕獲は北海道から特別採捕許可を頂いて実施しています。
※魚は生体状態で計測を行い、放流しています。
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posted by 野鳥保護区事業 at 14:14| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月14日

日本製紙株式会社と共同踏査を行ないました

当会は日本製紙株式会社と、同社の社有林をシマフクロウの生息地保全と森林施業の両立を図るための覚書を結んでいます。

11月28日、同社の社員のみなさまと当会のレンジャーで社有林内の保全範囲を確認しあうため、川に沿って歩きました。

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川の中には魚影も見られました。

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川に入り、魚を探す当会のレンジャー

これからも、当会と日本製紙株式会社は、シマフクロウの生息地の保全と森林施業が両立できるような森づくりを追求していきます。

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今回の共同踏査のメンバー
posted by 野鳥保護区事業 at 14:03| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする