2025年03月04日

令和6年度シマフクロウ保護増殖検討会に出席しました

当会は、環境省に認定されたシマフクロウ保護増殖事業者として、野鳥保護区の設置や給餌を行なっています。
この保護増殖事業の令和6年度の実施結果と令和7年度の実施計画について協議する検討会が、2月26日に環境省主催で実施され、当会も関係者として出席しました。

会議では、令和6年度の生息状況調査の結果、標識されたつがいが前年度比6つがい増の88つがい確認されたことが環境省から報告されました(標識のないつがいはさらに約20つがい確認されています)。
また、個体識別のための標識調査で、44羽のヒナに足環標識を装着したことが報告され、この中には、当会が管理を行なう巣箱から巣立った2羽も含まれています。

当会からは、土地の購入やその後の管理等により14つがいの生息地保全に貢献していることや、餌資源を補うために約180kgのヤマメを給餌したことを報告しました。当会は25つがいの保全を目標としており、残り11つがいの保全のために、さらに活動の手を広げていく必要があります。
3月はシマフクロウにとって産卵と抱卵の時期で、まもなく子育てが始まります。
来年度も無事にヒナが巣立つことを願って、調査や給餌等の活動に取り組んでいきます。

検討会の資料は、過去のものを含め下記の環境省HPで閲覧できます(令和6年度のものは3/4時点ではまだ掲載されていません)。
https://hokkaido.env.go.jp/wildlife/post_9_00001.html

また、検討会は公開で実施されており、一般の方もWEBで視聴することができます。
毎年2月〜3月頃に実施されますので、シマフクロウの保護活動の現状についてご興味のある方はぜひ参加してみてください。

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posted by 野鳥保護区事業 at 10:47| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月25日

日本製紙株式会社と共同踏査を実施

当会は日本製紙株式会社と、同社の社有林をシマフクロウの生息地保全と森林施業の両立を図るための覚書を結んでおり、毎年、共同踏査を行なっています。

今年は11月28日に、同社の社員の皆さまと当会のレンジャーで、シマフクロウの巣箱のメンテナンスを行いました。

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<作業のための資材を運ぶ>

シマフクロウの巣箱には、同社からご提供いただいたチップを巣材として敷いているのですが、巣箱への出入りの際などにチップが体に付いて出てしまうためか、繁殖期が終わると巣箱の中は空っぽになってしまいます。
来年の繁殖期もシマフクロウに巣箱を利用してもらうため、社員の皆さまにお手伝いいただきながら、土嚢袋3袋分のチップを巣箱に投入しました。

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<巣箱に巣材を投入するレンジャー>

シマフクロウの天敵のエゾクロテンは木登りが得意なため、枝を伝って巣箱に侵入し、ヒナを襲います。これを防ぐために、巣箱周辺の木々に鉄板を巻きつける作業も行いました。

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<テン避けの鉄板を設置>

これからも、当会と日本製紙株式会社は、シマフクロウの生息地の保全と森林施業を両立した森づくりを目指して活動を続けていきます。

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<今回の共同踏査のメンバー>
posted by 野鳥保護区事業 at 10:23| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月25日

北海道日高地域の河川で魚類調査を実施

当会が保護活動を行っている北海道日高地域の河川では、シマフクロウの餌となる魚類の資源量を把握するための調査を毎月実施しています(魚類の捕獲は北海道から特別採捕許可を受けて実施しています)。

先月の調査では、ハナカジカをなんと20個体も確認しました。ハナカジカは石や砂利がゴロゴロとした河川の川底にいることが多く、シマフクロウにとって重要な餌資源のひとつです。

これだけたくさんのハナカジカを一度に見ていると、体色が白く縞模様が目立つ個体や、全身が黒っぽい個体まで、個体によって体色や模様が異なることに気が付きます。

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<白く模様が目立つハナカジカ>

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<全身が黒っぽいハナカジカ>

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<褐色のハナカジカ>

この体色や模様は、彼らが川底にいるときに周りの石や砂利にとても馴染み、保護色となります。川の上から見ていると全く気が付かないほどだったので、これを夜に見つけて捕まえるシマフクロウの目の良さに感心しました。

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<川の中でのカジカ類のようす>

調査対象の河川には、エゾハナカジカとハナカジカが生息しており、エゾハナカジカは、川で生まれた後、海に下って成長してから再び川に戻ってきます。その際に、河川に段差などの工作物があると遡上できなくなってしまいます。
そのような河川では、魚道整備などの取り組みが行われています。

シマフクロウの保護のためには、彼らの餌となる魚類が生息できる環境の保全が必要なのです。
posted by 野鳥保護区事業 at 13:07| シマフクロウ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする